森彩乃(Vo&Key)、内田旭彦(Ba&Cho&Prog)、三輪幸宏(Dr)
メジャーデビューは一つの地点
ピアノボーカル、ベース、ドラムからなる愛知出身の3人組バンド・クアイフが、11月29日に『愛を教えてくれた君へ』でメジャーデビューを果たす。TVアニメ「いぬやしき」のエンディング・テーマの同楽曲は、大切な人に本当に伝えたいことというメッセージが込められたミディアム・バラードだ。そこで今回は、森彩乃、内田旭彦、三輪幸宏に結成の経緯からメジャーへの心境、シングルについて話を訊いた。
■VANITYMIXは初登場ということで、まずは結成の経緯からお聞かせいただけますか?
森 このバンドを組む前に、私はシンガーソングライターとして活動していたんです。ですが、バンドでライブがしたいと思うようになり、バックバンドを探していたときに知人の紹介で内田と出会いました。あくまでバックバンドを探していたわけで、当時はバンドを結成する気持ちは全くなかったんです。
■というと?
森 シンガーソングライターの前に、実は別のメンバーとバンドを組んでいたんですが、いろいろあって解散しちゃって。<もう一人でやった方がいいわ>と思っていた時期だったんです。だけど、内田から「俺らのバンドが解散するから、一緒にバンド組もうよ。ドラムは連れてくるから」と誘われて、とりあえずスタジオ入ってみようという気持ちになりました。後日、内田が連れてきたドラムが三輪だったんです。
■ちなみに三輪さんと内田さんの出会いはいつ頃に?
内田 大学の軽音サークルですね。そこで組んでいたバンドが、大学を卒業するタイミングで解散しました。
三輪 僕はそのバンドが解散するタイミングで、音楽自体を辞めようと思っていたんです。だけど、突然内田から連絡きて「バンドやるから練習しておいて」と言われて。詳細は何も知らないんですよ。(笑)そこから半年経ってから森と出会いましたね。
森 なんで半年も空いていたんだっけ?
内田 最初に声かけたときは、今のバンドを結成することは全く決まってなかったんです。でも幸宏を辞めさせたくなかった。だから、<バンド組むから>と断言しておけば、幸宏も俺もバンドを組まざるをえない状況になると思っていて。
■三輪さんへの言葉で、自分自身を奮い立たせていたんですね。(笑)
内田 はい。あと幸宏を引き留めたとき、実はまだ森とも出会っていなかったんですよね。
森 え!?そうだったの?
三輪 最初、別のボーカルを誘っていたんです。
森 え!!!!!それは初耳なんだけど!
内田 でもそのボーカリストが上京することになっていて、結局バンドは組めなかったんですけど。当時はそのボーカルと結成できると思っていたので、幸宏を引き留めていました。
森 いま初めて聞いて、まじでびっくりしています。(笑)
内田 その半年後に森と出会って、幸宏を誘って、スタジオ入って、クアイフとしての本格的な活動が始まったという感じです。
■そうだったんですね。森さんにとっては衝撃の事実が発覚するという。(笑)さて、11月28日にメジャーデビューしますが、決まったときの心境はいかがでした?
森 シンガーソングライターとしてがむしゃらに活動していた時期からみたら、夢のようなことだけど、今は一つの地点でしかない。メジャーデビューがすべてじゃないけど、自分たちが選んだ道であり、またそこからスタートする地点、ですね。
内田 純粋にすごく嬉しかったです。改めて気を引き締めて頑張らないと、と思います。
三輪 最初にマネージャーから話を聞いたときに、心の中で「うす!」みたいな。(笑)めちゃくちゃ嬉しいんですけど、意外と冷静だったのを覚えています。
■過去に他媒体のインタビューで、「今、バンドはメジャーでやれるのか?」という問題意識を抱えていたことを明かしていましたが、実際自分たちがメジャーデビューするにあたってその意識に何か変化はありましたか?
内田 そこから気持ちのベクトルが変わったわけではないですが、これまではコアファンに対して向けて作っていた音楽を、今度は外に向けて作っていくという変化はありますね。メジャーという場所はより多くの人に向けて歌を届けたいから行く場所であって、そこに行くことにあたり、より多くの人たちに向けて曲作りをできていたのか、今までやってこれたのか、という考えをより突き詰めた期間ではあったと思います。
■音楽ファン以外にも伝わる音楽を作ることの難しさって、具体的にどんな部分にあると思いますか?
内田 ふと流れてきた歌詞やメロディーでどれだけ惹き込めるか、だと思うんです。耳心地の良いシンプルさも必要、かつ、もう一度聞きたくなる複雑性のあるもの。その絶妙なバランスだと思います。