オメでたい頭でなにより

オメでたい頭でなにより VANITYMIX WEB LIMITED INTERVIEW

■フェスはどのような流れで出ることになったんですか?

赤飯 オーディションです。でも結局その話も人づてにもらったもので、「こういうフェスがあるから出てみたら?」ってところからスタートしたんです。それから人のつながりがどんどんどんどん派生していっていまのポジションって感じだから、それがなかったらここまでこれてないっていう可能性も高いんですよ。

ぽにきんぐだむ そこからメジャーデビューもしていますからね。

■かなりスピーディーな展開ですよね。

ぽにきんぐだむ 2018年の4月にメジャーデビューしたんですけど、実はその1年前からお話はいただいていて。結成1年でメジャーの話がきていて、でも僕らはもともと活動していた場所がネットの動画サイトなので、そういう人間がバンドを組んで、1年やそこらでデビューしましたってなると、世間の目というのはまぁまぁ冷たいんですよ。なおかつ真剣にやっている邦ロックの人たちからの色眼鏡的な見られ方というか、中途半端にロックをやってるヤツらがまた出てきた、みたいな見られ方をするんですよね。もちろんそういう人たちばかりではないですけど。

■はい。確かにそうですよね…。

ぽにきんぐだむ じゃ、どうしたらその人たちにちゃんと仲間として迎え入れてもらって、お客さんにもちゃんと音楽をやってるって見方をしてもらえるかと言ったら、地道にライブハウスを回って地固めをして、一線で戦っているバンドマンたちと一緒にバチバチやり合って、そこで自分たちに自信がついた時点でメジャーデビューするべきだって、そういう考え方にメンバー全員がなっていて。だからポニーキャニオンさんには申し訳ないけど、1年待っていてください、自分たちの自信がついたタイミングでメジャーデビューさせてくださいって。そう言ったらOKしてくれたんで、1年間がんばってライブして、動員増やして、「よし、もういいね」って、それが2018年だったんです。

■なるほど。

ぽにきんぐだむ ありがたいお話はいろいろいただいていたんですけど、そこに乗っかってたらいままでとやってること変わんないから、また失敗するだろうし、だから、けっこう考えながらゆっくり地道に歩いてきた2年間なんですよ。ありがたいことにそれをみんなが理解してくれたっていう。

■そういう意味でも人に恵まれていますね。

赤飯 もうそれしかないですね。そもそもこんな訳のわからんCD作って、OKって言ってくれるチームやし、でも、結局はそういうことなんですよ。ぶっちゃけ僕らは、会社とかどうでもよくて、どういう人と一緒にやれるかしかないんです。そもそもこのバンドを作ったとき、絶対メジャーデビューなんてしないでおこう、自分たちでやっていこう、っていうスタンスやったし。でも声かけてもらって、そこからこの人たちやったら自分らの想いもちゃんと汲んでくれるし、信用していいんじゃないかって、だから一緒のチームでやろうって。そういう人たちが運良く現れてくれて、自分たちに必要な人たちが現れてくれるんですよ、何か知らんけど。(笑)巡り合わせがいいというか、ツイているバンドなんですよね、僕ら。

■運って結局、人が人に運んでくるということを考えたら、決してツイてるだけではないですよね。

赤飯 我々のスタンスがありきで、吸い寄せる力みたいなのももしかしたらあるのかもしれないですけどね。こういうコンセプトで以って、こういうことをやりたいっていうメッセージを発信し続けているからこそ、そこに反応してくれる人たちが来てくれているのだろうし、そもそもそ発信していなかったら存在にも気づいてもらえないし。そのコンセプトを発信することを大前提でやり始めてから、巡り合わせが変わってきたっていうのはあるかもしれないです。

■そういう軸にある想いが音に現れているし、その本気度がちゃんと伝わっているからだと思います。オマージュとかも信頼されていなかったらここまでできないだろうし。

ぽにきんぐだむ たしかにそうですよね。もちろん、あくまでもリスペクトありきで、やるなら中途半端にやるのも失礼だしってことで、ここまで振り切っているんですけどね。

■むしろ気持ちがいいです。そもそもこういう曲作りを始めた理由というのは?

赤飯 僕がそれしかできなかったんです。歌詞が書けなかったんですよ。

mao 自我が芽生えて言葉を覚えたってところにうまく戻りましたね。

■あ、そうでしたね。

赤飯 ちょけておもしろいものを作ることしかなかったんです、僕の頭の中には。だから初期はほんまにそんな曲ばっかなんですよ。一応メッセージみたいなものをサビとかにちょっと盛り込んだりはするんですけど、やっぱり深みがない。(笑)だから、さっきも言ったように、僕が言語を覚えたんで、今回のアルバムでやっと歌詞を物語の中で紡げるようになったんです。

■だからこそ、こんなにもドラマティックな1枚になったと。

赤飯 そのとおりです。あとちょっとまじめな話をすると、我々はネガティブを噛み砕いてポジティブに変えてからアウトプットするということをずっとテーマにやってきたんで、オメでたさとか明るさ、元気の押し売りみたいに捉えられがちな節もあったわけですよ、正直。落ち込んでる人に対して我々の音楽は逆に毒になる、みたいな。

■あー、しんどいですよね、ポジティブを押しつけられるのは。

赤飯 そう、勇気づけられるどころか、どんどんしんどくなる。そういうことも実はあって、それを聞いたときもう本末転倒すぎるなと思っちゃったんですよね。だから今回のアルバムではもっとそういう人たちに寄り添いたいなって、だったらネガティブな部分をもっと正直に出していこうってすげぇ思って。

■はい。

赤飯 だから“HELL“O”“では、この世は地獄って言い切っちゃっていたり、いままでやったらこんな書き方しなかったんです、絶対。だけど、今回はあえてこう書いて、そういう人たちのこともちゃんと見ているよって、このアルバムで伝えたかったんですよね。で、まじめな感じになるとなんかヤだな、と思ったんで「チャバシラタッター」で終わりにしたという訳です。

mao 最後はやっぱりオメでたらしくね。(笑)

■ふふふ、なるほど。でも“HELL“O”“ みたいなリアルな曲があるからこそ、ほかの曲も引き立ちますよね。

赤飯 そうなんですよ。よりリアルに感じてもらえるだろうし、ポジティブな曲がさらに引き立ちますよね。そもそも僕はポジティブバカな歌詞とか大っ嫌いなのに、なんかね、あれ?あれ?って。(笑)でも、今回はそういう意味でも自信を持ってあらためて我々はこういう存在ですよって、自分たちの成長も含めてちゃんと提示できるものになったし、そういうものも全部、おもしろい部分も本気でつめ込めたんじゃないかと思います。ツアーも楽しみなんで、みんな遊びに来てください!

Interview & Text:藤坂綾

PROFILE
赤飯、ぽにきんぐだむ、324、mao、ミト充の5人からなる「日本一オメでたい人情ラウドロックバンド」。ライブに足を運んでくれた人たちが一人でも多く「楽しく、幸せに騒げる、底抜けに自由でオメでたいバンド」をコンセプトに活動中。子供も大人も楽しめる音楽を実現するため、誰もが知っている日本の文化や遊び・オメでたいものをテーマとし、歌詞には、日常生活、バラエティー、邦・洋楽、童謡などありとあらゆるものをオマージュ&スパイスとして随所に散りばめつつ、思わずニヤッとしてしまうコミカルな世界観が特徴。2018年4月4日に『鯛獲る』でポニーキャニオンからメジャーデビュー。10月には、初のTVアニメタイアップ『火ノ丸相撲』のED『日出ズル場所』をリリース。

http://www.omedeta.band/

RELEASE
『オメでたい頭でなにより1』
オメでたい頭でなにより1
初回限定盤(CD+DVD)
PCCA-04733
¥4,800(tax in)

オメでたい頭でなにより1
通常盤(CD)
PCCA-04734
¥2,800(tax in)

PONYCANYON
1月9日ON SALE

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