MOROHA

MOROHA WEB LIMITED INTERVIEW

10年経ったいまだからこそのベストアルバム
MOROHAメジャーデビュー

『MOROHA BEST ~十年再録~』でメジャーデビューするMOROHA。初めてライブを観たときの衝撃はいまでも忘れないし、それはいまでも変わらない。ただ息を呑み、ただ立ちつくす。「おまえはどうなの?おまえはそれでいいの?」――どこまでいっても追いかけてくる自問自答、それもいまでも変わらないし、変えたくない。たとえそれがどんなにつらく、怖いことでも。10年経ったいまだからこそたどり着いたメジャーというフィールドとベストアルバムについて、アフロとUKに話してもらった。

■メジャーへいくと決めた理由はなんだったんですか?

アフロ いままでMOROHAは音楽好きの人を相手に音楽をやってきたところがあるんですよね。でも、僕らよく“対人間”というフレーズを言うんですけど、そのフレーズにのっとり、音楽を好きじゃない人、例えば豆腐屋のおじちゃんとか商店のおばちゃん、そういうお茶の間に届けるためにはどうしたらいいのかというのを考えた結果、メジャーという選択をしたんです。

■UKさんはメジャーに対しての夢とかありました?

UK もちろんありました。でもメジャーとかインディーズとか気にしてないというか、意識してないですね。自分が表現したいことを表現できるのであれば、自分の軸がブレなければどこでやっても表現することは同じなんで。

■いままで自分たちでやられてきたので、例えば自由にできなくなるかもといった不安みたいなものはなかったですか?

アフロ それはないですね。自分たちでちゃんと立てる状況だったので。自分たちでちゃんと立ててない状況だったら軸がブレてしまうだろうけど、いまのタイミングであればパートナーとしてお互いウィンウィンでやれるだろうなって。

■自分たちでやってきた分、軸がしっかりしているから大丈夫だろうと。

アフロ 大丈夫じゃない面もあったんですけどね。もちろん衝突したりもしているんですけど、でもそれはむこうの言い分をわかったうえで、だったらこっちもこれは譲れねぇってところでの衝突なので、それはちゃんと闘っていけるんですよ。言っていることがわかんねぇってことだと、そこから先の未来はないんですけど、それぞれの立場、意見を知って、その中での闘いということは、そこでバッチバチにぶつかったとしても、そのあとちゃんと納得できる、それも前に進む力というか。ぶつからないとたぶんダメなんだろうなと思っているし、そこはちゃんとチームでできてるから大丈夫だと思いますね。

UK 誰かと意見が衝突するというのはお互い前を向こうという姿勢の表れだと思うんですね。なので、その衝突はすごくいいことだと思うし、悩みやなんかも全部前進の姿勢だと思うから、衝突したり、悩んだりっていうことができるうちは大丈夫かなって。

■メジャー1枚目を再録のベストアルバムにしたのは?

アフロ 俺らはライブをものすごくたくさんやってきたという自負があるんですけど、ライブでやる毎に曲っていうのは育つんですよね。なので、いままでの曲をいまの自分たちでもう一度録りなおしたかったっていうのがまず大きいところで。あとは俺たちの曲、俺の歌詞は連続ドラマのようになっているので、順を追って聴いてもらったうえで、次の4枚目に向かうほうがより刺さると思って。と言えばかっこいいですけど、1st、2nd、3rdとこれまでアルバムを出してきて、それがもしお茶の間まで届いていたらこのベストアルバムは必要なかったかもしれないですよね。でもいまのところこの連続ドラマは視聴率が悪くて、俺はそれに納得がいっていない。なので、このタイミングでいままでのすべてをブラッシュアップして、広範囲に伝えられたらなって思ったんです。

■10年で変わったところ、変わらないところ、あるかと思いますが再録してみてどうですか?

UK 変わっていなければ出さなかっただろうし、10年という月日があったからこそ、こうやってまた新しい気持ちで出したいと思えたんだから、すごく変わっていると思いますよ。その変化を嫌だという人もいるだろうけど、昔のほうが好きだったって気持ちもわかるし、それはうれしいことだと思うし。でも、もともとファンの人たち、いまもファンでい続けてくれる人たちだけに届けるつもりはまったくないので、変化することに関して後ろめたさはないですね。

■活動していく中での自然の変化であり、MOROHAのいまはこうだ、と?

UK 僕たちが選んだいまのかたち、ですね。それを狙ってやったわけではないんですけど、こういうふうに成長していったので、それをどうぞ見てくださいって。そういう作品になっていると思うので、それを感じてもらえたら。

アフロ そもそもこのベストは昔の自分をこてんぱんにするぞっていう気持ちで録り始めたんですね。手にしたものはあるけど、失ったものもあるっていうのは嫌で、失ったものは何ひとつなくて手にしたものだけがあるっていう再録にしたかったんです。で、いざ勝負だって、初期の音源と対峙するんですけど、やっぱりなかなかの手強さがあるんですよね。というのは、当時は小さい器だったんですけどそれがちゃんと溢れている音源だった。でもいまはその器が大きくなって前よりもっと入るようになった。だからその大きくなった器が溢れていないと、結局手にしたものはあるけど、失ったものもあることになってしまうなと思ったんです。

■なるほど。そういうことだったんですね。

アフロ そこでその大きな器を溢れさせなくちゃいけないとなると、歌詞ひとつに対しても、あのとき悔しいと思っていたことより、いまのほうが悔しいこといっぱいあるよなって。やっぱ自分でも実感するんですよね。だからそれを逃さないように注ぎ込むし、あのとき言っていた愛情っていうものよりいまの愛情のほうがふくよかだと思ったら、そのふくよかさをちゃんと注ぎ込むし。そういうことを緻密にやらないと負けちゃうなとは思ったので、溢れているかどうかっていうのは最優先で大切だと思っていたんですよ、どれくらい入っているかじゃなくて。初期の頃も小さい器なりに溢れさせていたから、アンテナ張っている音楽好きの人にはちゃんと届いたと思うから。いま大きな器で溢れさせたら、もちろんユニバーサルの力もあってのことだけど、きっともっと世間に届くだろうとは思っているんですよね。

1 / 212