石崎ひゅーい Tour2016「花瓶の花」@東京・キネマ倶楽部 ライブレポート 2016年7月28日
「僕がギターを弾くから、みんなが歌ってください」
たくさんの人に愛されてきた曲は、この日一番の大合唱!!
3年振りのセカンドアルバム『花瓶の花』を今年5月18日にリリースし、7月21日の名古屋、7月22日の大阪と周り、この日ツアーファイナルを迎えた。完売となった会場では、開場前から、多くのオーディエンスが訪れ、ライブスタートを待ちわびていた。今回のツアーにはTomi Yo(Key)と沖増菜摘(Violin)も加わり、より一層ライブの期待値が高まっていた。
開演予定時刻より20分ほど遅れて開演!アコギと軽快なリズムでアップテンポな“トラガリ”でスタートを彩り“メーデーメーデー”ではオーディエンスが拳を突き上げ、石崎にマイクを手向けられると「SOS」の雄たけびが割れんばかりに連呼される。その勢いのまま全身全霊で“オタマジャクシ”とアッパーチューンなナンバーで畳み掛け、“僕だけの楽園”“シンデレラへの伝言”を披露すると大きな拍手が巻き起こる。
ライブ中盤、“夜間飛行”で石崎が耳に手を当てるとオーディエンスがすかさずシンガロングしテンションを一気にあげて行くと「デビュー曲を歌います」と言って披露した“第三惑星交響曲”では、石崎の「飛んで」の号令で一斉にフロア中がジャンプを繰り返す一体感のある光景となる。ここで、8月24日に発売されるテレビ東京アニメ「NARUTO-ナルト-疾風伝」エンディングテーマの新曲“ピノとアメリ”を届けたあと、歌詞の世界感が印象的な“カカオ”の曲中に撮影クルーのビデオカメラを取り上げると、ステージからバンドメンバーやオーディエンスを撮影する一幕も。さらに、“ファンタジックレディオ”では、オーディエンスの中から男子学生1人をステージに上げ、一緒に手を取り合いダンスしたり、「あー君のことが好きー!」と熱唱する様子は、とても自由奔放で音楽の本当の意味での楽しさを教えてくれているようだった。
続いて、石崎ひゅーいという人間を知るうえで欠かせない“シーベルト”が披露され、“泣き虫ハッチ”“ピーナツバター”とライブも後半戦に突入。訴えるかのように熱唱した“僕がいるぞ!”でオーディエンスは拳を突き上げ、そんな雰囲気に応えるかのように“星をつかまえて”では石崎がフロアに飛び込みオーディエンスに囲まれながら、熱唱し想いを共有する。終盤のMCで沖縄・波照間島で出会い、福島で再会を果たした原発作業員のおじさんとのエピソードを交え、“花瓶の花”という楽曲が、たくさんの人に愛されてきた曲であり、自分自身にとっても大切な楽曲であるかを伝える。その想いを大事そうに受け取るかのようなオーディエンスを他所に、「僕がギターを弾くから、みんなが歌ってください」と言ってギターを弾き始めると、オーディエンスもこの日一番の大合唱で応える。「100点です」と、嬉しそうな石崎の笑顔は会場中に蔓延し、改めてバンドメンバーと共に届けた“花瓶の花”はとても温かく、愛に溢れていた。この日ライブの締めくくりに披露されたのはアルバム『花瓶の花』の収録曲でもラストに収録されているナンバー“天国電話”。オーディエンスに語りかけるようにしっとりと歌い上げ、終始魅了し続けたツアーファイナルは終演を迎えた。
不器用ながらも、真っ直ぐに誠実に想いを音楽と身体全体で届け続けてきたアーティスト、石崎ひゅーい。言葉も気持ちも飾ることのない音楽を届けるからこそ、ストレートに響くし、たまらなく人は幸せを感じるのではないだろうか。誰の真似でもなく、唯一無二の“石崎ひゅーい”というジャンルに魅了された、偽りのない愛に溢れたツアーファイナルだった。
Photo:上飯坂 一