■今作はこれまで以上に1枚の作品の中に様々なタイプの音楽性を共存させている印象を持ちました。
平井 いい具合にいろいろなタイプの音楽性がごちゃごちゃ混ざっていますよね。（笑）とは言え、前作、前々作にしても、そこまで統一感を意識して作った作品ではなかったんです。僕の中では、今いいなと思ったものを表現し、収めただけだったので。それは今作でも同じで。ある意味、今いいなと思ったものが多様なものだっただけで。なので自分の中では、やっていることはそう変わらないんです。気づけば…というのが正直なところで。たから自分でも不思議でしたよ。ああ、今回はこんなにバラエティに富んだ作風になったんだ…って。
■あと今作では、より大きな人生のサイクル観も感じました。
平井 将来のことを明確に考えていく歳になりましたからね。僕の場合、自分のその時々の人生観が作品に反映されるし、感じられないものは表現できないタイプなので。そういった部分では、今作も自分のパーソナルな部分は現れています。それこそ考えることが増えれば増えるほど、それが音楽にも反映されていくでしょうから。「将来こうなったらいいな…」とか、「これは男としとてやっておかなきゃいけないな」とか、その辺りは今作でもすごく反映されています。
■これまで以上に、「後世に聴き継がれていって欲しい!!」、そんな音楽観が今作からは強く感じられました。現代の人もですが、後世やもっと未来の人たちにも自分の歌を聴き継いで、歌い継いで欲しい、みたいな。
平井 古くても良いと感じられるものは、どんどん未来へとつなげていかなくちゃならないですからね。いつの日か、このアルバムも古いものになり、風化するかもしれない。そんな時に、「ああ、昔はこんないい曲があったんだ…」と受け取ってもらいたいし、ヴィンテージなものになってもらいたい気持ちは常に強くあります。
■ヴィンテージからクラシックへと？
平井 そう呼ばれるものを作っていきたいし、遺していきたいんです。一過性ではなくキチンと将来にも残っていくもの、そのような楽曲を作っていくし、作ってきたこだわりや自負がありますから。その辺りは引き続き、今後も守っていきたいですね。
■中でも“はじまりの歌”の歌詞内容には、かなり耳を惹くものがありました。
平井 自分としてもここまで向き合って作ったのも久々でしたね。でも、この辺りも今回は届けたかったんです。なので、あえて歌詞も伝えたいことを明確にしているし。ある意味、自分に向けての側面もあるし。日々新しいことに挑戦し、このめまぐるしく変わっていく時代の中、心も柔軟にしていかないとならないですから。でも、それってある種、勇気の要ることでもあって。日々新しいことに関心を持ち、それを受け入れ、なおかつ自分の個性やアイデンティティも維持し現代を生き抜く。これってすごく体力の要ることじゃないですか。みなさんそうだと思うんです。そんな方々の背中をこの曲を通して押せたらいいですね。
■オープンマインドでいつつ、それを自分なりに昇華していく。それには私も憧れます。
平井 それこそ素っ裸でいいと思うんです。最近の自分なんて、「そうだな…」と感じることも多くて。普段自分が想っていること、感じていること、それを受け入れ自分のものにしてみる。それでいいんです。そんな中、きっとそれに賛同したり、一緒に歩いてくれる友が見つかるでしょうから。
Interview&Text：池田スカオ和宏
PROFILE
2011年、ハワイ最大規模のイベント「ホノルルフェスティバル」の公式イメージソングに“ONE LOVE～Pacific Harmony～”が抜擢され注目を集める。2013年7月、ミニアルバム『Dream』でメジャーデビュー。2016年6月に『Life is Beautiful』をリリースし、iTunes で総合チャート１位を獲得。iTunes/Apple Musicスタッフが選んだ2016年ベストアルバムに選出される。2017年7月、約1年ぶりとなるアルバム『ON THE ROAD』をリリースし、情熱大陸ライブ、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER などのフェスに出演し、各地で圧巻のパフォーマンスを繰り広げる。Surf Rock界を牽引する若き異才の持ち主として多方面からの注目を浴びている。
RELEASE
『WAVE on WAVES』
CD+DVD
AVCD-93936/B
￥4,320（tax in）
CD only
AVCD-93937
￥3,000
cutting edge
7月4日ON SALE
