真空ホロウ 真空パックvol.10 ライブレポート@渋谷WWW 2月25日(木)
真空ホロウ 今年初のワンマンライブで迫真のステージ!
2月25日、真空ホロウのワンマンライブが渋谷WWWで開催された。2015年7月からソロ活動を本格的に始動させ、ライブではアコースティックやバンド編成、他アーティストとのコラボなど精力的に敢行。そのなかでも、今回は今年初のバンド編成でのワンマンということもあり、多くのオーディエンスが駆けつけた。
ステージはバックと床を白一色に統一。暗転し、まずサポートメンバーの3人が登場した。今回は高原未奈(Ba)、Yuumi(from FliP/Dr)、西村奈央(Key)が起用され、ステージと同様全員白い衣装。最後に全身を黒で統一させた松本明人がステージに現れ、初の紅一点ならぬ“黒一点”でのステージに臨んだ。
1曲目を飾ったのはファンにとってもなじみ深い“闇に踊れ”。アグレッシブなサウンドが一気に会場を温め、オーディエンスもそれに呼応するように拳を突き上げる。そして“カラクロメイロ”“シンデレラコンプレックス”とロックチューンが続き、松本が「真空ホロウへようこそ」とお決まりのセリフで迎えると、会場は大きなクラップでそれに応えた。神秘的な雰囲気にアレンジされたイントロで始まった“虹”では、松本の堂々とした歌いっぷりと鬼気迫る演奏に引き込まれ、文字通り手に汗にぎる幕開けの4曲となった。
「どうか最後までこの部屋の中で思いのままに楽しんでいってください」と松本が告げ、「真っ暗闇だと思っていた あの部屋にはもう誰も居ない」の歌詞から始まる“マイ・バスティーユ”へ。誰しもが抱える微かな希望への切ないまでの執着が、音の洪水と共に込み上げる。そしてそっと背中を押し、リスナーに寄り添うような“ゲシュタルト”“ひかりのうた”とミディアム~スローなナンバーが続く。一筋のスポットライトにまっすぐ照らされ、一つひとつの言葉を会場に届けるかのように優しく、そして力強く歌いあげる松本。そのすべてを吸収するように、ステージと向き合うオーディエンスの姿が印象的だった。
メンバー紹介からの4人のセッションで一体感を見せたあとは、昭和の切ない雰囲気を色濃くまとった“Tokyo blue bug”と未発表曲“陽炎”へ。ギターを置いた松本は、登場人物になりきるかのように全身で歌の世界観を表現。まるで舞台劇のワンシーンを見ているような迫力に思わず圧倒された。そして、こちらも未発表曲の“ドリップ”。ジャズテイストの心地よいリズムに身を委ねる会場に4人の音の存在感もさらに強まり、圧巻のステージを魅せた。
MCでは、サポートメンバー一人ひとりとのエピソードや、一緒に演奏してみての感想などを語った松本。「見てのとおり女性お三方を従えての真空ホロウなんですが、スタジオではにじみ出る女子校感が……。」と女性に囲まれての環境にとまどいを覚えたことを打ち明けると、「めちゃウケる!」とサポート陣からイジられる場面も。微笑ましいやりとりに癒される時間となった。「でも演奏になると男性よりも男性らしくて、僕を引っ張ってくれました。これからやる曲は僕の男らしさを見せるチャンスです(笑)」松本の男らしさにオーディエンスの期待高まるなか、ライブもいよいよ終盤へ。“ホラーガールサーカス”“バタフライスクールエフェクト”“アナフィラキシーショック”とアグレッシブなナンバーで攻める。MCの和やかなひと時とは一変、申し分のない“カッコよさ”を見せつける4人。フィナーレに向けてさらに会場を扇動する松本にオーディエンスも負けじと応える。そしてラストは“MAGIC”。「声に出しても、心で思っても、体で表現してもいいです。一緒に歌いましょう。」松本の声に歓声があがり、コーラスでは会場全体で大迫力のシンガロング。その一体感には感動すら覚えた。どこまでも突き抜けるようなメロディーと歌声に会場は揺れ、躍動感にあふれたステージで本編は幕を閉じた。
アンコールに応えて再びステージに登場した松本。「初めてやる曲なので、みんなで育てていく空間にできたらいいなと思います。」そう告げると新曲を立て続けに披露。“最果て”“執着地点”“炸裂メインストリーム”“サクラ・テンダー”と惜しげもなく会場に届けた。特にラストの“サクラ・テンダー”は、配信サイト「ツイットキャスティング」で視聴者からテーマを募ってできあがった曲。切ない歌詞とメロディアスなリフレインがいつまでも頭に残り、微かな春の予感と記憶を喚起させる1曲だ。声に出して、心で思って、体を揺らして――ここで披露された新曲たちは、これからどのように色づいていくのだろうか。それを確認する頃には、次の季節に移り変わっているだろう。そんな温かな期待を寄せずにはいられない、あっという間の2時間だった。
Text:矢作綾加
真空パックvol.10セットリスト
1.闇に踊れ
2.カラクロメイロ
3.シンデレラコンプレックス~真空ほろうへようこそ~
4.虹
5.マイ・バスティーユ
6.ゲッシュタルト
7.ひかりのうた
8.Tokyo blue bug
9.陽炎
10.ドリップ
11.ホラーガールサーカス
12.バタフライスクールエフェクト
13.アナフィラキシーショック
14.MAGIC
En1.最果て
En2.執着地点
En3.炸裂メインストリーム
En4.サクラ・テンダー
<真空ホロウInfo>
・今回のライブの模様は3月25日まで下記URLで閲覧可能
https://live.line.me/r/channels/478/broadcast/1978
・会場限定CD『Torch.2』が、4月1日より開催される Acoustic Tour 2016『真空歩廊展 -第一回-』から販売