NUBO 「”bonfire” TOUR 2015-2016 」ファイナルシリーズ ライブレポート@渋谷CLUB QUATTRO 2月13日(土)
「あなたが見てるから俺らはがんばれてます」
NUBO史上最高のライブ、誇り高きツアーファイナル
昨年9月にリリースしたシングル『bonfire』を引き提げての全国ツアー「”bonfire” TOUR 2015-2016」の最終公演が、2月13日渋谷CLUB QUATTROで行われた。
この日はPANとdustboxという盟友を迎えてのファイナルということもあり、期待と熱気で溢れるクアトロ。食パンを客席に投げ込むという強引なスタイルで始まったPANは、途中NUBOの“RESHINE”のイントロを演奏するという愛ある小ネタを挟みつつ、シンプルながらも渾身のパフォーマンスで会場を一気に盛り上げる。
“Right Now”でスタートしたdustboxは惜しみなくキラーチューンを投げ込みながら、中盤では2月24日にリリースしたミニアルバム『skyrocket』から“Rise Above”を披露。リリース前にも関わらず、すでにファンとの掛け合いは完璧で、ライブバンドとしての貫禄をみせながら、その姿でライブハウスの素晴らしさを語った。
そしていよいよNUBOの登場。なんと、いきなりの“bonfire”でテンションすでにマックス。間髪入れずに“Such one”“Go on foot”と続き、「ありがとうございました。最後の1曲です。最後の1曲を、今日は何回も続けるぞ!」とtommy(Vo)が叫べば、一成(Vo)は「越えるぞ!」と叫び、“Colored”へとなだれ込む。
「とにかく越える」――そう何度も言った後は“Turn to the right”の途中でPANの“直感ベイベー”を歌い、小ネタ返しをしたり、“Blisters on my foot”ではフロアにいる全員にダ◯◯ウ倶楽部のあのジャンプをさせたりと、リラックスした表情もみせたりする。
熱意や気迫は感じるものの、決してそこから気負いは感じない。勢いだけではないもっと奥のほうから溢れ出てくるもの、それぞれの音や個性が際立ったうえでのバンドとしてのとてつもないグルーブ感とでも言うのか、この日のNUBOにはそういう大きな“何か”を感じる瞬間がたびたびあった。
中盤戦、tommyがこのツアーとともに、『bonefire』のレコーディング当時のことを振り返り、「当時の俺の口癖は“変わろう”“変わらなきゃ”“変えてやる”で、その口癖を持ってツアーに行ったら、大事なものだらけだったことに気がついた。変わりたかったのはダメな自分。だから変わらない大事なものを持ってることにちゃんと気づいて、ダメな自分をちゃんと許して、そうすることで今日ちゃんとしあわせでいられてます」と話す。そして「ちゃんと自分のことを好きでいてください。ちゃんと自分のことを大事にしてあげてください。“bonfire”ツアー、俺らにとってのしあわせでした!」と言い“ナイモノバカリ”“RESHINE”。この日のこの2曲の輝きはすさまじく、続く“Circle”での幸福感は半端なく、すべての感情を包みこむかのように“Allie”で本編は終了。
アンコールでは追加公演となるワンマンを4月17日に横浜F.A.Dで開催すること、5月にシングルをリリースすることを発表。「やりたいことがいっぱいある。今日はNUBO史上最高のライブをしたい。残り何曲か一緒に遊ぼうぜ!」と“Yokohama blues gawa”“ If there is no mirror ball”、全員の一本締めから“咲く花”と続き、「“bonfire”ツアーでいちばんうれしかった言葉をあなたに返します。あなたが見てるから俺らはがんばれてます。本当にありがとうございました!」と述べ、幕を閉じた。
これ以上でもこれ以下でもない、ただただ等身大の姿を見せてくれたこの日のNUBO。こんなことを言うと怒られてしまいそうだけど、この日NUBOのライブを観なくても彼らがどんなツアーを回ってきたかはすぐにわかった。彼らにとって何よりも大切な仲間たちがそれを証明してくれたからだ。PAN、dustbox、そしてクアトロに集まった全員が、NUBOの“いま”を証明してくれたからだ。
それに応えるかのようにライブに挑んだ5人は、いままで観たどんな姿よりも自分らしく、そのことにちゃんと誇りを持っていた。“誇り”とは、自分を守り、支えてくれる最大の勇気。自分を信じ、次へと突き動かすことのできる唯一の力。全力で仲間を讃えることで得た“誇り”と、全力でそのままの自分とバンドを讃えることで得た“誇り”。仲間と自分たちに対してのそれが、大きな“自信”へとつながる瞬間が見えた、そんなツアーファイナルだった。
Text:藤坂綾
Photo:HayachiN